通信制の学校で出会ったバツイチの女性 前編
- 2016/05/13
- 06:00
あれは忘れもしない18の夏のこと。
通信制の高校に通ってた俺は、授業が2時間ほどなくて暇潰しに体育館でバスケをしてた。
通信制だけど一応部活もあってバスケ部に所属してたからちょうどいい暇潰しになるんだよね。
5分も動けば汗だくになってんだけどそんなの気にせずにシューティングをしてたら後ろから声を掛けられた。
「あのー、バスケ部の方ですか?」
俺「あ、うん」
同年代くらいの女の子だった。
(名前は彩とする)
彩の第一印象は別にどこにでも居る女の子って感じだった。
ただ校則もない学校だから明るい茶髪に派手なメイクが印象的だったくらい。
彩「女子バスケってあるんですか?」
俺「一応あるらしいけど、人数が足りてないんじゃないかな・・・」
彩「そうですか・・・あ!良かったらちょっと1対1しません?」
俺「俺はいいけど」
俺がそう言うと彩は嬉しそうな顔をしてカバンからバッシュを取り出して履いた。
ぶっちゃけ女子とバスケするのって嫌いだったからモチベーションはだだ下がり。
接触の多いスポーツだから気まずいんだよね。
テキトーにやり過ごせばいいや、なんて思ってた。
彩「じゃあやりましょうか!」
結果はというと俺の惨敗、もう話にならなかった。
攻めても守っても彩の方が1枚も2枚も上手。
ぶっちゃけ小、中とバスケやってて市の選抜に選ばれたりしてたから下手な方ではないはずなのに歯が立たなかった。
彩「ありがとうございました!あー、楽しかったww」
俺「めっちゃ上手いんだね」
彩「そんなことないですよー!やっぱり女子とやるのやりにくいと思うしww」
俺「いや、途中からは本気の本気ww完敗だよ。良かったら名前教えてくれる?」
彩「彩だよ!また顔合わせたらよろしくね」
18の夏、彩に惚れそうになった俺がいた。
バスケが出来る女の子って無条件で可愛く思えるんだよねww
あとプレー中にふれたおっぱいが柔らかくてたまらなかったwwww
スペック書いとくね。
俺
当時18の高2
妻夫木に似てるらしい
178cm、65㎏
彩
当時18の高1
平愛理に似てる
150cmくらい?
体重は知らん
それから何回目かの部活の時に、まだ2歳くらいの子を連れて部活に現れた彩wwww
俺も含め部活のみんなびっくりww
先輩「え、子供いたの?ww」
彩「はいww2歳になるんですよー」
うちの高校じゃ子供連れて高校に来る子は結構普通に居るんだよね。
それでもまさか彩に子供が居るとは思ってなかったww
俺「子供居たんだねー。びっくりしたww」
彩「びっくりさせてごめんねww」
俺「いやー、しかし母親似で可愛い!」
彩「なに?wwお世辞のつもり?ww」
その日から娘ちゃん(楓とする)は部内のアイドルになってコートの隅っこで楽しそうにボール遊びしてたwwww
いやね、もうほんと目がくりくりで可愛いんだww
そこからは女バスの方も人数が集まったみたいで大会に一緒に出たりとかした。
女バスは県大会で表彰されるくらいまでレベルをあげていて彩はその大会でMVPとったりしてたww
もちろん学校のある日の部活で顔を合わすくらいで進展は0。
季節だけがいたずらに過ぎていった。
連絡先は聞いたけど個人的に連絡こともほとんどなかった。
分かったことはもう×がついていることくらい。
それでもやっぱり意識はしてた。
別に×があることとか子供がいることは気にならなかったんだよね。
俺自身もDQNだったし周りもそうだったからそういうのに抵抗がなかったんだと思う。
季節は流れて19歳の11月の終わり、大学も決まって卒業もほぼ確定した頃。
部活も最後の大会が終わって引退が決まったんで、打ち上げをすることになった。
男バス部員6人と彩とで鍋を食べに行くことに。
まさに荒野に咲く一輪の花状態の彩ww
あとあと聞けば部員の内、俺を含めて4人も彩のこと好きだったらしいww
彩テラアイドルwwあっちゃんもビックリの一強ww
ある程度腹もふくれてきて打ち上げもお開きになって、それぞれ帰路に就いた。
みんなそれぞれ家の方向が違ったんだけど運良く俺は彩と同じ方向ww
指くわえて見てた彩ファンざまあww
俺「途中まで一緒に帰ろっか」
彩「うん!お持ち帰りとかやってないからねww」
俺「誰がするかww」
確かこんな感じの話をしながら、歩幅の狭い彩にあわせて歩いてた。
狭い歩道だったんでちょいちょい当たる手がやたら愛おしかった。
彩「今年で卒業だよね?」
俺「うん、今年で終わり。じゃないと大学の入学金がパーになるww」
彩「寂しくなるなー。私はあと1年かかるのに」
俺「また思ってもないことをww」
彩「ばれたかーww」
俺「この小悪魔ww」
なぜかこの後急に訪れる沈黙。
なにか話さなきゃなー、と思ってたら彩が先に口を開いた。
彩「このあと暇?」
俺「まぁ暇っちゃ暇だよ」
彩「このあと家来る?今日誰も居なくて暇なんだよねww」
もう頭のなかはこれなんてエロゲ?状態ww
付き合ってもない女の実家に行くなんて考えたこともなかったし。
あれ?こいつビッチ?とか考え出す始末ww
そもそも子供は?ってかなりテンパッてた。
俺「いや、なんか悪いし・・・」
彩「外見に似合わず意外に意気地無しなんだねww」
俺「うるせー。行けばいいんだろ」
なんか上手いこと乗せられた感満載になりつつも家にお邪魔することになった。
どうやら楓は託児所に預けてたらしく途中で迎えに行った。
楓「ママ~!」
彩「ごめんねー、お待たせ!」
楓「あ、だむだむのおじさんww」
ちなみにだむだむ、とはバスケのことらしいですww
というかおじさんって・・・ww
彩「こら、楓。おじいちゃんでしょ!ww」
楓「おじいちゃんおじいちゃんww」
俺「ぐぬぬ・・・」
それでもおじいちゃん頑張って肩車とかしてあげたらめっちゃ喜んでくれてこっちまで嬉しくなったww
彩「めっちゃ懐かれてるじゃんww」
俺「不思議と昔から老人とちっちゃい子には懐かれるんだよ」
彩「それでも楓が人見知りしないなんて珍しいよ」
俺「へー。ちょっと嬉しいかもww」
楓「おじいちゃん、くちゃい!」
俺「・・・好かれてはなくね?」
彩「wwww」
家に帰ってからは特に何もなくて楓が寝るまで遊んであげて、あとは彩と話してただけ。
明け方近くまで互いのことを色々話してて急に彩が喋らなくなって見てみると寝てたww
なんたる速さ。
毛布あげて、なんとなく彩と楓の寝顔を見てるとほっこりと温かい気持ちになったのを覚えてる。
朝からバイトだったから寝ることもできず寝ている彩と楓を起こさないように、静かに家を出た。
不思議とその日を境に学校以外でも会うことが増えた。
遊園地、動物園に行ってみたり映画も行った。
嬉しそうにはしゃぐ楓とそれを見て微笑む彩。
彩と楓と3人で歩いてると家族と間違えられたりしてそのことに喜んでる俺がいた。
両親の顔も知らずに育ってきたからなんかこういうのも悪くないなって思ってた。
家族とかってこういう感じなのかなって。
その反面付き合うことはないって割り切ってた。
というものの俺は春になれば大学生になるわけで少なくとも4年間は今までみたいにがっつり働くことも出来なくなる。
やっぱり子供がいれば将来うんぬんより現実を見なきゃならないことくらい俺にも分かってたつもりだった。
辛いと言えば辛かったけどそれよりも彩と会えること、楓と喜ぶ顔が見れることが嬉しくてこんな関係がこのまま続けばいい、なんて思ってた。
1月のある日、夜中に彩から電話があった。
彩「話あるんだけど、今から会える?」
俺「行けるよー。家着いたらまた電話するよ」
急にどうしたんだろうと思いながら、車で15分ほどの距離を行く。
彩の家の近くにあるコンビニに着いてメールするとすぐに彩が来た。
彩は車に乗り込むと寒い寒い言いながら手を擦りあわせてた。
俺「どーしたよ?」
彩「うん。とりあえず来てくれてありがとうね!」
なかなか事の核心を話そうとしない彩。
雑談しながら時間だけが過ぎて30分ほど経った頃、彩が深呼吸をして話を始めた。
彩「あのね、今から独り言言うからなにも言わずに聞いてね」
俺「分かった」
彩は窓から遠くを見て、淡々と話し出した。
すごく悲しそうな横顔だったのを覚えてる。
彩「なんかシュン(俺)と居るとさ、理想だった幸せの家族?
ってのが現実になりそうでさ。
だんだん惹かれていっちゃうんだよね。
楓も次いつシュンに会えるのかとか聞いてきちゃう始末。
でも俺は今年から大学生になるわけでおそらく1番楽しい時期を迎えると思う。
それを邪魔したくないし、負担にもなりたくないの。
だからもう会うのやめよっか」
確かこんな感じだったと思う。
なんとなくこうなることは分かってた。
彩は喋り終わった途端に嗚咽と共に泣き出して、つられて俺も泣きそうになった。
付き合うことはないって頭で理解してても、やっぱり心はそうじゃなくて。
確かに楓も含めて彩のことが好きになってた。
なにか言わなきゃ、って思えば思うほど言葉にならなかった。
ただ車の中は彩の泣く声だけでもうどうしようもないくらいに苦しくなった。
彩「今までほんとにありがとね!じゃあ・・・」
俺「あ・・・」
最後までなにも言えなかった。
彩は車から降りて、振り向くこともなく家の方へ向かっていった。
彩が見えなくなってから、一気に涙が溢れ出てきた。
もう女々しいったらありゃしないww
割り切ってた俺はどこにいったんだwwww
もう当然、車なんて運転できる状況じゃなかったから迷惑になるのは覚悟でコンビニの駐車場で2時間くらい泣いてた。
途中で通報されたのか知らないけど、警察のお兄さんに職質されたよww
3時くらいにやっと落ち着いてきて、家へと車を走らせた。
家に帰ると同時に心にぽっかり穴があいたような、そんな虚無感に襲われた。
彩と会わなくなって、俺はもぬけの殻のようになってた。
ただバイトして、寝て食べて。
たった1人の人をなくすだけで、こんなに虚しくなるなんて初めてだったから本当にどうしようもなかった。
そんなあるとき、学校の先輩から電話があった。
俺「はい」
先輩「今日暇か?」
俺「バイトが終わった後なら」
先輩「じゃあ飲みに行こう!バイト終わったら連絡くれよ」
俺「いや・・・」
・・・切れた。
乗り気ではなかったけど、気分転換になればいいかと思いバイトが終わってから先輩と合流して居酒屋に入った。
とりあえず生中2杯頼んで乾杯した。
ちなみにこの先輩とは高校入ってからの付き合いで同じ夢を持って頑張ってたから、もう友達みたいな感じ。
最初はもうすぐ卒業だなーとか他愛もない話をしてたんだけど饒舌だった先輩の口数が急に減って、真顔になった。
先輩「彩ちゃんに振られたんだってなー」
俺「なんで知ってんですか」
先輩「俺の情報網を舐めてもらっちゃ困るww」
俺「振られるもなにも付き合ってすらないよ」
先輩「でも惚れてんじゃん?」
なんか傷口をえぐり返されたような気持ちになった。
イライラとはちょっと違うんだけど、それに近いような気持ち。
俺「惚れてたらなんなんですか」
先輩「怒るなよww」
俺「好きだけじゃだめだったんです」
先輩「んで諦めた?」
俺「・・・はい」
なんか会話の1つ1つが焦れったかった。
通信制の高校に通ってた俺は、授業が2時間ほどなくて暇潰しに体育館でバスケをしてた。
通信制だけど一応部活もあってバスケ部に所属してたからちょうどいい暇潰しになるんだよね。
5分も動けば汗だくになってんだけどそんなの気にせずにシューティングをしてたら後ろから声を掛けられた。
「あのー、バスケ部の方ですか?」
俺「あ、うん」
同年代くらいの女の子だった。
(名前は彩とする)
彩の第一印象は別にどこにでも居る女の子って感じだった。
ただ校則もない学校だから明るい茶髪に派手なメイクが印象的だったくらい。
彩「女子バスケってあるんですか?」
俺「一応あるらしいけど、人数が足りてないんじゃないかな・・・」
彩「そうですか・・・あ!良かったらちょっと1対1しません?」
俺「俺はいいけど」
俺がそう言うと彩は嬉しそうな顔をしてカバンからバッシュを取り出して履いた。
ぶっちゃけ女子とバスケするのって嫌いだったからモチベーションはだだ下がり。
接触の多いスポーツだから気まずいんだよね。
テキトーにやり過ごせばいいや、なんて思ってた。
彩「じゃあやりましょうか!」
結果はというと俺の惨敗、もう話にならなかった。
攻めても守っても彩の方が1枚も2枚も上手。
ぶっちゃけ小、中とバスケやってて市の選抜に選ばれたりしてたから下手な方ではないはずなのに歯が立たなかった。
彩「ありがとうございました!あー、楽しかったww」
俺「めっちゃ上手いんだね」
彩「そんなことないですよー!やっぱり女子とやるのやりにくいと思うしww」
俺「いや、途中からは本気の本気ww完敗だよ。良かったら名前教えてくれる?」
彩「彩だよ!また顔合わせたらよろしくね」
18の夏、彩に惚れそうになった俺がいた。
バスケが出来る女の子って無条件で可愛く思えるんだよねww
あとプレー中にふれたおっぱいが柔らかくてたまらなかったwwww
スペック書いとくね。
俺
当時18の高2
妻夫木に似てるらしい
178cm、65㎏
彩
当時18の高1
平愛理に似てる
150cmくらい?
体重は知らん
それから何回目かの部活の時に、まだ2歳くらいの子を連れて部活に現れた彩wwww
俺も含め部活のみんなびっくりww
先輩「え、子供いたの?ww」
彩「はいww2歳になるんですよー」
うちの高校じゃ子供連れて高校に来る子は結構普通に居るんだよね。
それでもまさか彩に子供が居るとは思ってなかったww
俺「子供居たんだねー。びっくりしたww」
彩「びっくりさせてごめんねww」
俺「いやー、しかし母親似で可愛い!」
彩「なに?wwお世辞のつもり?ww」
その日から娘ちゃん(楓とする)は部内のアイドルになってコートの隅っこで楽しそうにボール遊びしてたwwww
いやね、もうほんと目がくりくりで可愛いんだww
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女バスは県大会で表彰されるくらいまでレベルをあげていて彩はその大会でMVPとったりしてたww
もちろん学校のある日の部活で顔を合わすくらいで進展は0。
季節だけがいたずらに過ぎていった。
連絡先は聞いたけど個人的に連絡こともほとんどなかった。
分かったことはもう×がついていることくらい。
それでもやっぱり意識はしてた。
別に×があることとか子供がいることは気にならなかったんだよね。
俺自身もDQNだったし周りもそうだったからそういうのに抵抗がなかったんだと思う。
季節は流れて19歳の11月の終わり、大学も決まって卒業もほぼ確定した頃。
部活も最後の大会が終わって引退が決まったんで、打ち上げをすることになった。
男バス部員6人と彩とで鍋を食べに行くことに。
まさに荒野に咲く一輪の花状態の彩ww
あとあと聞けば部員の内、俺を含めて4人も彩のこと好きだったらしいww
彩テラアイドルwwあっちゃんもビックリの一強ww
ある程度腹もふくれてきて打ち上げもお開きになって、それぞれ帰路に就いた。
みんなそれぞれ家の方向が違ったんだけど運良く俺は彩と同じ方向ww
指くわえて見てた彩ファンざまあww
俺「途中まで一緒に帰ろっか」
彩「うん!お持ち帰りとかやってないからねww」
俺「誰がするかww」
確かこんな感じの話をしながら、歩幅の狭い彩にあわせて歩いてた。
狭い歩道だったんでちょいちょい当たる手がやたら愛おしかった。
彩「今年で卒業だよね?」
俺「うん、今年で終わり。じゃないと大学の入学金がパーになるww」
彩「寂しくなるなー。私はあと1年かかるのに」
俺「また思ってもないことをww」
彩「ばれたかーww」
俺「この小悪魔ww」
なぜかこの後急に訪れる沈黙。
なにか話さなきゃなー、と思ってたら彩が先に口を開いた。
彩「このあと暇?」
俺「まぁ暇っちゃ暇だよ」
彩「このあと家来る?今日誰も居なくて暇なんだよねww」
もう頭のなかはこれなんてエロゲ?状態ww
付き合ってもない女の実家に行くなんて考えたこともなかったし。
あれ?こいつビッチ?とか考え出す始末ww
そもそも子供は?ってかなりテンパッてた。
俺「いや、なんか悪いし・・・」
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俺「うるせー。行けばいいんだろ」
なんか上手いこと乗せられた感満載になりつつも家にお邪魔することになった。
どうやら楓は託児所に預けてたらしく途中で迎えに行った。
楓「ママ~!」
彩「ごめんねー、お待たせ!」
楓「あ、だむだむのおじさんww」
ちなみにだむだむ、とはバスケのことらしいですww
というかおじさんって・・・ww
彩「こら、楓。おじいちゃんでしょ!ww」
楓「おじいちゃんおじいちゃんww」
俺「ぐぬぬ・・・」
それでもおじいちゃん頑張って肩車とかしてあげたらめっちゃ喜んでくれてこっちまで嬉しくなったww
彩「めっちゃ懐かれてるじゃんww」
俺「不思議と昔から老人とちっちゃい子には懐かれるんだよ」
彩「それでも楓が人見知りしないなんて珍しいよ」
俺「へー。ちょっと嬉しいかもww」
楓「おじいちゃん、くちゃい!」
俺「・・・好かれてはなくね?」
彩「wwww」
家に帰ってからは特に何もなくて楓が寝るまで遊んであげて、あとは彩と話してただけ。
明け方近くまで互いのことを色々話してて急に彩が喋らなくなって見てみると寝てたww
なんたる速さ。
毛布あげて、なんとなく彩と楓の寝顔を見てるとほっこりと温かい気持ちになったのを覚えてる。
朝からバイトだったから寝ることもできず寝ている彩と楓を起こさないように、静かに家を出た。
不思議とその日を境に学校以外でも会うことが増えた。
遊園地、動物園に行ってみたり映画も行った。
嬉しそうにはしゃぐ楓とそれを見て微笑む彩。
彩と楓と3人で歩いてると家族と間違えられたりしてそのことに喜んでる俺がいた。
両親の顔も知らずに育ってきたからなんかこういうのも悪くないなって思ってた。
家族とかってこういう感じなのかなって。
その反面付き合うことはないって割り切ってた。
というものの俺は春になれば大学生になるわけで少なくとも4年間は今までみたいにがっつり働くことも出来なくなる。
やっぱり子供がいれば将来うんぬんより現実を見なきゃならないことくらい俺にも分かってたつもりだった。
辛いと言えば辛かったけどそれよりも彩と会えること、楓と喜ぶ顔が見れることが嬉しくてこんな関係がこのまま続けばいい、なんて思ってた。
1月のある日、夜中に彩から電話があった。
彩「話あるんだけど、今から会える?」
俺「行けるよー。家着いたらまた電話するよ」
急にどうしたんだろうと思いながら、車で15分ほどの距離を行く。
彩の家の近くにあるコンビニに着いてメールするとすぐに彩が来た。
彩は車に乗り込むと寒い寒い言いながら手を擦りあわせてた。
俺「どーしたよ?」
彩「うん。とりあえず来てくれてありがとうね!」
なかなか事の核心を話そうとしない彩。
雑談しながら時間だけが過ぎて30分ほど経った頃、彩が深呼吸をして話を始めた。
彩「あのね、今から独り言言うからなにも言わずに聞いてね」
俺「分かった」
彩は窓から遠くを見て、淡々と話し出した。
すごく悲しそうな横顔だったのを覚えてる。
彩「なんかシュン(俺)と居るとさ、理想だった幸せの家族?
ってのが現実になりそうでさ。
だんだん惹かれていっちゃうんだよね。
楓も次いつシュンに会えるのかとか聞いてきちゃう始末。
でも俺は今年から大学生になるわけでおそらく1番楽しい時期を迎えると思う。
それを邪魔したくないし、負担にもなりたくないの。
だからもう会うのやめよっか」
確かこんな感じだったと思う。
なんとなくこうなることは分かってた。
彩は喋り終わった途端に嗚咽と共に泣き出して、つられて俺も泣きそうになった。
付き合うことはないって頭で理解してても、やっぱり心はそうじゃなくて。
確かに楓も含めて彩のことが好きになってた。
なにか言わなきゃ、って思えば思うほど言葉にならなかった。
ただ車の中は彩の泣く声だけでもうどうしようもないくらいに苦しくなった。
彩「今までほんとにありがとね!じゃあ・・・」
俺「あ・・・」
最後までなにも言えなかった。
彩は車から降りて、振り向くこともなく家の方へ向かっていった。
彩が見えなくなってから、一気に涙が溢れ出てきた。
もう女々しいったらありゃしないww
割り切ってた俺はどこにいったんだwwww
もう当然、車なんて運転できる状況じゃなかったから迷惑になるのは覚悟でコンビニの駐車場で2時間くらい泣いてた。
途中で通報されたのか知らないけど、警察のお兄さんに職質されたよww
3時くらいにやっと落ち着いてきて、家へと車を走らせた。
家に帰ると同時に心にぽっかり穴があいたような、そんな虚無感に襲われた。
彩と会わなくなって、俺はもぬけの殻のようになってた。
ただバイトして、寝て食べて。
たった1人の人をなくすだけで、こんなに虚しくなるなんて初めてだったから本当にどうしようもなかった。
そんなあるとき、学校の先輩から電話があった。
俺「はい」
先輩「今日暇か?」
俺「バイトが終わった後なら」
先輩「じゃあ飲みに行こう!バイト終わったら連絡くれよ」
俺「いや・・・」
・・・切れた。
乗り気ではなかったけど、気分転換になればいいかと思いバイトが終わってから先輩と合流して居酒屋に入った。
とりあえず生中2杯頼んで乾杯した。
ちなみにこの先輩とは高校入ってからの付き合いで同じ夢を持って頑張ってたから、もう友達みたいな感じ。
最初はもうすぐ卒業だなーとか他愛もない話をしてたんだけど饒舌だった先輩の口数が急に減って、真顔になった。
先輩「彩ちゃんに振られたんだってなー」
俺「なんで知ってんですか」
先輩「俺の情報網を舐めてもらっちゃ困るww」
俺「振られるもなにも付き合ってすらないよ」
先輩「でも惚れてんじゃん?」
なんか傷口をえぐり返されたような気持ちになった。
イライラとはちょっと違うんだけど、それに近いような気持ち。
俺「惚れてたらなんなんですか」
先輩「怒るなよww」
俺「好きだけじゃだめだったんです」
先輩「んで諦めた?」
俺「・・・はい」
なんか会話の1つ1つが焦れったかった。
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